ワールド極真会空手連盟 東京支部立川駅北口の稽古場と、空手を始める前に読む資料室

公開:2026年10月17日/最終更新:2026年10月18日

裸足の稽古で水虫やいぼはうつるか|道場の床と皮膚の感染の研究

プロサッカー選手 314 人のうち 36.9% に足の皮膚の真菌症が見つかった、という海外の調査があります。競技も履物も違いますが、汗をかいた足と共用の場所という条件は、道場の更衣室とも重なります。稽古が終わった更衣室は、汗ばんだ足と脱いだ靴下で足元がぬれています。裸足で歩き、道着に着替え、ときには同じ床に座り込む場所です。足の裏は汗を吸いやすく、靴下を脱いだあとも湿ったままになりがちです。

この記事の要点
  • 足の水虫は足白癬(そくはくせん)ともいい、足の裏や指の間にできる白癬です。
  • 運動する人の足は、汗を吸った靴下と靴の中で長い時間を過ごします。
  • 白癬は足だけにとどまりません。
  • いぼについては、研究の結果が割れています。

裸足の稽古で水虫やいぼはうつるか|道場の床と皮膚の感染の研究

プロサッカー選手 314 人のうち 36.9% に足の皮膚の真菌症が見つかった、という海外の調査があります。競技も履物も違いますが、汗をかいた足と共用の場所という条件は、道場の更衣室とも重なります。稽古が終わった更衣室は、汗ばんだ足と脱いだ靴下で足元がぬれています。裸足で歩き、道着に着替え、ときには同じ床に座り込む場所です。足の裏は汗を吸いやすく、靴下を脱いだあとも湿ったままになりがちです。

裸足で稽古すること自体より、ぬれた足をそのままにしないこと、タオルや履物を分けることのほうが、防ぐ手立てとしては現実的です。 水虫といぼでは原因が違い、気をつける場所も変わります。以下では、何がわかっていて何がまだわかっていないかを、研究ごとに見ていきます。

裸足の道場で問題になる三つの皮膚の変化

足の水虫は足白癬(そくはくせん)ともいい、足の裏や指の間にできる白癬です。白癬は真菌(カビの仲間)が皮膚の角質に入って増える感染で、湿った場所を好みます。指の間は空気が通りにくく、汗がたまりやすい場所です。

かゆみや皮むけが出ますが、目立たないまま広がることもあります。はがれた皮に菌が含まれ、それが床や物に付くことがあります。爪の中に入り込むと、皮膚の見た目が落ち着いても菌が残ることがあります。

体にできる白癬は体部白癬、頭にできるものは頭部白癬と呼びます。組み合って肌が触れる競技では、足だけでなく顔・首・肩・頭にも広がることがあります。髪の中に菌が残ると、見た目には気づきにくいまま人に移ることがあります。道着が触れ合う稽古では、足だけを見ていればよいわけではありません。肌が触れる時間が長い競技ほど、体と頭の観察も欠かせません。

いぼは白癬とは別の病気で、ウイルスが皮膚の小さな傷から入ってできる盛り上がりです。足の裏にできると硬く平たくなり、歩くときに痛むことがあります。削れて硬くなると、いぼだと気づきにくくなります。床や物を介して移る可能性は指摘されていますが、研究の結果は一つにそろっていません。同じ足のできものでも、水虫といぼでは原因も対策も違います。

三つとも、皮膚科で検査して見分けます。どれも、見た目だけで自己判断しにくい変化です。以下では、水虫と体の白癬、いぼを分けて、何がわかっているかを見ていきます。

汗をかく競技で見つかった水虫の割合

運動する人の足は、汗を吸った靴下と靴の中で長い時間を過ごします。靴の中は温度も湿度も上がり、皮膚の表面にいる菌にとって居心地のよい場所になります。Mhando ほか(2026)は、タンザニアのプレミアリーグ 13 クラブに所属するプロサッカー選手 314 人を、診察と顕微鏡検査で調べました。競技はサッカーで、空手の道場とは条件が違います。

このうち、足の皮膚の真菌症は 36.9%、足白癬は 12.4% に見つかりました。共用のシャワーを使うことと関連し、調整した割合の比は 2.98、p 値は 0.007 でした。靴下の共有も、関連した要因として挙がっています。共用の場所と、身につける物の両方が、調べる対象になっています。汗をかいた足と共用の場所が重なるところに、水虫が集まりやすいことがうかがえます。

同じ時点で聞き取りと診察をした横断研究なので、共用のシャワーが原因だったと決めることはできません。ただ、この調査は、裸足の稽古のあとに足を洗い、よく乾かす習慣と矛盾しません。足を洗う順番や、洗ったあとに何で拭くかといった日常の動作は、研究の数字には表れにくい部分です。道場の床そのものより、足をぬれたままにしない過ごし方のほうが、具体的な手立てになります。

対象は大人で、靴を履いて走る競技の調査です。それでも、汗をかいた足を放置しないという方向は、道場でも選べる工夫です。道場の床が原因かどうかを決めるには、同じ道場の子どもたちを追う調査が要ります。

組み合う競技では体と頭にも広がる

白癬は足だけにとどまりません。Shiraki ほか(2009)は、日本の大学病院の皮膚科を受診した格闘技の選手 92 人(男性 87 人、6-38 歳、平均 18.4 歳)の記録をまとめました。89 人が柔道、3 人がレスリングで、空手の道場の記録ではありません。

このうち、症状のない保菌者が 30.4% を占め、体部白癬が 55.4%、頭部白癬が 29.3% でした。体の白癬は、顔・首・肩など組み合って触れる部位に出ています。組み合う競技では、相手の肌と自分の肌が直接触れる時間が長くなります。見た目に気づかないまま、肌が触れることで広がる人がいるということです。足の水虫だけを気にしていても、体と頭の変化を見落とすことがあります。

Hirose ほか(2012)は、東京の大学柔道部で 4 年間、質問票とヘアブラシの培養検査を続けた記録です。ヘアブラシは頭部白癬の検査に使う道具で、髪の毛に付いた菌を培養して確かめます。質問票に答えた選手のうち、感染の経験があると答えた人は約 65% に上りました。陽性者の割合は 11.3%(2008 年度)から 5.4%(2011 年)へ下がり、培養で陽性の人のうち症状のない保菌者は 86% から 98% へ増えました。

空手は組み合う時間が短く、柔道とは稽古の形が違います。それでも、道着が触れ合う稽古や、汗をふくタオルの使い回しは、柔道と似た条件を作ります。稽古のあとに体を拭くタオルを分けるだけでも、触れる機会は減らせます。肌が触れる競技では、足だけでなく体と頭も視野に入れておく必要があります。

いぼと床の関係を調べた研究

いぼについては、研究の結果が割れています。Rigo ほか(2003)は、スペインの小学校で起きた足の裏のいぼの集団発生を調べました。対象は生徒 1,620 人で、集団発生の罹患率は 19.25% でした。学校の中の出来事で、道場の床を調べた研究ではありません。

更衣室を裸足で歩くことと関連し、オッズ比(関連の強さを表す指標)は 1.97(95% 信頼区間 1.39〜2.79)でした。値が大きいほど、その要因がある人にいぼが多いことを示します。

一方、裸足でシャワーを浴びることの値は 0.97(95% 信頼区間 0.58〜1.64)で、関連は見られませんでした。いぼの有無は本人や保護者の報告に頼る調査で、足の裏の小さないぼを見落としている可能性があります。床との接触の中でも、歩くことと洗うことが同じように関係するわけではない、という結果です。

van Haalen ほか(2009)は、オランダの小学校 4 校で 4-12 歳の子ども 1,465 人の手と足を診察しました。このうち、いぼがあった子は 33%、足の裏のいぼは 20% でした。裸足の活動、共用のシャワー、プールの利用は、いぼの有無と関連しませんでした。診察で確かめている点は、報告だけの調査より確かな材料になります。小学校の子どもの調査であり、空手の稽古の場とは条件が違います。

代わりに関連したのは、家族にいぼのある人がいることでした。オッズ比は 1.9(95% 信頼区間 1.3-2.6)です。同じ床を踏むことより、家族や同じ集団の中で移る経路のほうが大きい可能性を、この調査は示しています。二つの研究は同じ問いに違う答えを出しており、裸足の活動をどう聞いたか、いぼをどう数えたかの違いが結果に重なっている可能性があります。家族の中で同じいぼが繰り返すなら、子どもだけでなく大人も一緒に見てもらうほうが話が早くなります。

五つの研究を並べてわかること

ここまでの研究を、対象・病気・関連した要因・弱さの四点で並べます。数字の大きさより、どんな人を調べ、何と比べたかに目を置くと、道場に持ち込める話かどうかが見えてきます。

研究 対象 病気 関連した要因 弱さ
Mhando 2026 プロサッカー選手 314 人 足の皮膚の真菌症 36.9% 共用のシャワー、靴下の共有 大人、靴を履く競技、一時点の調査
Shiraki 2009 格闘技の受診者 92 人 体部白癬 55.4%、頭部白癬 29.3% 肌が触れる部位 受診者だけ、ほとんどが柔道
Hirose 2012 大学柔道部の選手 陽性者が 11.3% から 5.4% へ 検査と受診の継続 比べる群なし、大学生
Rigo 2003 生徒 1,620 人 足の裏のいぼ 19.25% 更衣室を裸足で歩くこと 学校の集団発生、報告に頼る
van Haalen 2009 子ども 1,465 人 いぼ 33%、足の裏 20% 家族にいぼのある人 一時点の調査、質問票

研究の型は同じではありません。Mhando ほかと van Haalen ほかは診察を含み、Hirose ほかはある大学の柔道部の記録、Rigo ほかは学校の集団発生です。病気も調べ方も異なるため、数字を横に並べても感染の起こりやすさを直接比べることはできません。

家庭と道場でできる工夫

道場の床を消毒する前に、自分の足元でできることがあります。稽古のあとは足を洗い、指の間まで拭いて乾かします。ぬれたまま靴下を履くと、菌が増えやすい条件を自分で作ることになります。爪の間は特に乾きにくいので、短く切っておくと洗いやすくなります。足の裏を石けんで洗い、タオルで水気を取るだけでも、ぬれたまま放置するのとは違います。

タオル、靴下、稽古用の履物は、家族とも道場の仲間とも共有しません。足をふくタオルは足専用にし、道着とは別に洗います。更衣室では素足のまま歩き回らず、持参した履物を使う選択肢もあります。履物は帰りに拭いて乾かし、袋に入れずに通気します。床を疑う前に、足をふくタオルと靴下の持ち主を確かめるほうが早道です。

家族に水虫やいぼのある人がいれば、一緒に診てもらうことを考えます。van Haalen ほか(2009)で家族のいぼが関連したように、家庭の中は移りやすい場所です。症状が出ていない人もいるため、本人だけを疑っても解決しないことがあります。本人に症状がなくても、家族の誰かが検査を受けるきっかけになります。洗濯を一緒にする場合も、直接触れる物は分けておくと安心です。

Hirose ほか(2012)は、検査を続けて保菌者を見つける取り組みの記録で、比べる群のない前後の比較です。この対策で防げると言い切ることはできませんが、足を乾かすこと、物を分けることは、害の少ない行動として今日から選べます。対策どうしを比べた試験は、今回の検索では見当たりませんでした。

受診を考える目安

足の指の間がただれる、輪の形の赤い発疹が出る、かゆみが続く、足の裏に硬い粒ができて歩くと痛む。こうした変化が続くときは、皮膚科で検査を受ける目安になります。かゆみが軽くても、広がっていることがあります。水虫は目で見ただけでは決まりにくく、いぼも他の盛り上がりと似ていることがあります。

薬の名前や塗り方は、ここでは扱いません。診断の前に市販の薬を試すと、症状を隠して検査を遅らせることがあります。検査では、はがれた皮を顕微鏡で見たり、培養したりして確かめます。

受診のときに、いつから、どこに、どんな変化が出たかを伝えると、話が早くなります。受診の前に足を洗って清潔にしておくと、診察がしやすくなります。家族に同じ症状の人がいれば、そのことも伝えてください。

稽古を続けてよいかは、皮膚科で確かめます。休む期間は、診断と症状の経過で変わります。足の裏が痛むいぼや、広がるただれがあるときは、床を素足で歩く稽古を一時的に避ける判断もあります。道着やタオルは、ほかの人と分けて洗ってください。

更衣室の床は、みんなの汗が落ちる場所です。足を乾かすこと、タオルを分けること、家族の症状にも目を向けることは、どれも今日から変えられます。稽古のあとに使う足用のタオルを、持ち物に入れておきます。

よくある質問

道場の床を素足で歩くだけで水虫になりますか。

床を踏んだだけで必ずうつるわけではありません。Mhando ほか(2026)では共用のシャワーや靴下の共有が関連し、Rigo ほか(2003)では更衣室を裸足で歩くことがいぼと関連しました。床そのものより、ぬれた足を放置することと、タオルや履物を共有することのほうが、目を向けやすい条件です。稽古のあとに足を洗って乾かす習慣があれば、過度に怖がる必要はありません。

家族に水虫の人がいたら、道着やタオルは分けるべきですか。

タオルと靴下は分け、足をふくタオルは本人専用にします。van Haalen ほか(2009)では、家族にいぼのある人がいることがいぼと関連しました。水虫でも家族の中で移ることがあるため、洗濯を一緒にする場合も、直接触れる物は分けておくほうが安心です。症状のある人は皮膚科で検査を受け、一緒に確認してもらうと再発を防ぎやすくなります。

いぼができたら稽古は休むべきですか。

足の裏のいぼが痛むときは、裸足で踏ん張る稽古を一時的に減らす選択があります。踏ん張る動きが痛みを強めることがあるためです。痛みがなければ、すぐに休む必要はありません。いぼは自然に消えることもありますが、広がる、増える、歩くと痛むときは皮膚科で相談してください。道場の床を歩く前に足の変化を見ておくと、皮膚科に伝える症状が具体的になります。

この記事の限界

測定の面では、この記事が引いた研究の多くが、診察や質問票を一度だけ行った横断研究です。症状が出てから受診した人の記録や、学校・部活動の単位で集めた数字が中心で、道場の床からうつったかどうかを追った研究も、空手の子どもの水虫やいぼを日本で数えた研究もありません。

対象も競技もばらばらで、サッカー、柔道、レスリング、学校の子どもが混ざっており、数字は道場の頻度を示すものではありません。この記事は診断や治療の助言ではありません。家庭で足の指の間のただれや足裏の硬い粒、輪の形の発疹が続いていないかを見ておくことが、皮膚科での検査につながります。

参考文献

  1. Mhando ほか. Foot Mycoses Among Tanzanian Footballers: A Clinico-Epidemiological Study. Mycoses. 2026;69(8):e70212.
  2. Shiraki ほか. Commonly affected body sites in 92 Japanese combat sports participants with Trichophyton tonsurans infection. Mycoses. 2009;52(4):339-342.
  3. Hirose ほか. The results of Trichophyton tonsurans screening examinations and infection management in University Judo Federation of Tokyo athletes over a 4-year period. Med Mycol J. 2012;53(4):267-271.
  4. Rigo ほか. [Risk factors linked to the transmission of papilloma virus in the school environment. Alicante, 1999]. Aten Primaria. 2003;31(7):415-420.
  5. van Haalen ほか. Warts in primary schoolchildren: prevalence and relation with environmental factors. Br J Dermatol. 2009;161(1):148-152.

技の名前を調べた次は、組手の痛みと礼儀を稽古場で確かめる

  • 向く人: 技の名前や由来を知ったうえで、型と組手で実際に体を動かしたい大人
  • 向く人: けがの防ぎ方と礼儀の教え方を見てから、子どもに空手を習わせたい保護者
  • 向かない人: 相手を倒す技だけを早く覚えたい人
  • 向かない人: 医師から打撃や接触のある運動を止められている人

このサイトはワールド極真会空手連盟 東京支部が制作しています。稽古場はオンザショア立川店(立川駅から徒歩1分・溶岩プレートの床のスタジオ)です。

オンザショア立川店の空手(ワールド極真会 東京支部)クラス案内

よくある質問

道場の床を素足で歩くだけで水虫になりますか。

床を踏んだだけで必ずうつるわけではありません。Mhando ほか(2026)では共用のシャワーや靴下の共有が関連し、Rigo ほか(2003)では更衣室を裸足で歩くことがいぼと関連しました。床そのものより、ぬれた足を放置することと、タオルや履物を共有することのほうが、目を向けやすい条件です。稽古のあとに足を洗って乾かす習慣があれば、過度に怖がる必要はありません。

家族に水虫の人がいたら、道着やタオルは分けるべきですか。

タオルと靴下は分け、足をふくタオルは本人専用にします。van Haalen ほか(2009)では、家族にいぼのある人がいることがいぼと関連しました。水虫でも家族の中で移ることがあるため、洗濯を一緒にする場合も、直接触れる物は分けておくほうが安心です。症状のある人は皮膚科で検査を受け、一緒に確認してもらうと再発を防ぎやすくなります。

いぼができたら稽古は休むべきですか。

足の裏のいぼが痛むときは、裸足で踏ん張る稽古を一時的に減らす選択があります。踏ん張る動きが痛みを強めることがあるためです。痛みがなければ、すぐに休む必要はありません。いぼは自然に消えることもありますが、広がる、増える、歩くと痛むときは皮膚科で相談してください。道場の床を歩く前に足の変化を見ておくと、皮膚科に伝える症状が具体的になります。