ワールド極真会空手連盟 東京支部立川駅北口の稽古場と、空手を始める前に読む資料室

公開:2026年10月17日/最終更新:2026年10月31日

ゲームの時間が長い子どもと稽古|画面の時間と運動の研究

ゲームや動画に長い時間を使う子どもが空手を始めたら、その分だけ画面を見る時間は減るのでしょうか。運動と画面の時間の管理を組み合わせて減った研究はありますが、稽古を足すだけでゲームが減るという因果は確かめられていません。 この問いを直接扱う空手の研究はなく、手掛かりになるのは一般の子どものスポーツ参加と運動の研究です。

この記事の要点
  • Yman(2023)は、34 校の 13〜14 歳の子ども 1,139 人について、組織的なスポーツへの参加と画面の時間などを調べました。
  • Ahmed(2022)は、バングラデシュの都市部の高校 8 校で、運動と健康教育を組み合わせる取り組みを調べました。
  • Pearson(2014)は、18 歳未満を対象とする観察研究 163 本から、独立した 254 集団のデータを集めました。
  • Lizandra(2019)は、スペインの思春期の子ども 755 人を 3 年間追いました。

ゲームの時間が長い子どもと稽古|画面の時間と運動の研究

ゲームや動画に長い時間を使う子どもが空手を始めたら、その分だけ画面を見る時間は減るのでしょうか。運動と画面の時間の管理を組み合わせて減った研究はありますが、稽古を足すだけでゲームが減るという因果は確かめられていません。 この問いを直接扱う空手の研究はなく、手掛かりになるのは一般の子どものスポーツ参加と運動の研究です。

自宅で子どもが画面を見続けていると、保護者は稽古の予定でその時間を埋めたくなることもあります。けれど、家を出て体を動かした時間と、帰宅してから画面を使った時間は、別々に確かめる必要があります。運動は運動として数えます。通ったという事実だけから、家での過ごし方まで変わったと判断せず、それぞれの変化を見るのが出発点です。

研究には、スポーツをする子としない子を同じ時点で比べるものもあれば、学校で運動や健康教育を実施して変化を調べるものもあります。また、成長とともに画面の利用と運動がどう動くかを追った研究もあり、問いの立て方が違います。よい方向の結果と、単純な置き換えを支持しない結果を合わせて読むと、家庭で見直す対象がはっきりします。

子どものゲームの時間と運動の時間を比べた調査

Yman(2023)は、34 校の 13〜14 歳の子ども 1,139 人について、組織的なスポーツへの参加と画面の時間などを調べました。組織的なスポーツとは、クラブなど、予定や活動の枠組みのあるスポーツへの参加です。学校生活の中でどのような習慣が一緒に見られるかを、本人の回答から捉えています。

Yman(2023)では、週 3 回以上参加する子どもは、参加しない子どもに比べて、画面の時間が少ないと答える傾向がありました。報告されたオッズ比は 1.98 です。これは、画面の時間が少ない側に入る傾向を組の間で比較する指標で、スポーツによって減った時間そのものを測る指標とは区別して読みます。

調査は、ある時点の生活をまとめて調べる横断研究でした。スポーツを始める前から画面の利用が短かった子と、始めてから短くなった子を、この設計だけで分けることは困難です。家庭の予定や本人の好みなど、参加を選ぶ背景も考える必要があります。結果を稽古の回数の指示へ変えるより、参加状況と家での過ごし方を一緒に見る資料として扱います。

参加する子と参加しない子の差は、家庭で取り組みを始めた後の変化とは別の問いです。前者は違う子ども同士の比較であり、後者は同じ子どもがどう変わったかの比較になります。この区別を保つと、通う子の画面時間が短いという結果を、通い始めた子の画面時間が必ず短くなるという予測へ飛躍させずに済みます。

この調査の画面の時間には、ゲームだけを切り出して読む場合との違いもあります。家庭が気にしているのがゲームなのか動画なのかを決めておくと、研究の扱う対象と照らし合わせやすくなります。スポーツへの参加と画面利用の結びつきを、ゲームだけの問題へ狭めすぎない読み方が必要です。

学校で運動と生活への働きかけを加えた試験

Ahmed(2022)は、バングラデシュの都市部の高校 8 校で、運動と健康教育を組み合わせる取り組みを調べました。対象は 8〜9 年生で、介入する組と比較する組は各 160 人、期間は 12 週でした。介入とは、ふだんの生活を観察するだけでなく、研究側が活動などを加えて、その後の変化を調べることです。

Ahmed(2022)の取り組みには、週 1 回の監督つきの運動、健康教育、昼休みのスポーツが含まれていました。結果は、運動量が増え、画面の時間が減る方向でした。運動や座って過ごす行動に関する知識にも改善が見られ、学校で複数の働きかけを一緒に行う可能性を示しています。

この試験を稽古の選択に生かすときは、運動の予定以外に何を加えていたかに目を向けます。学校の活動と生活について学ぶ機会が組み合わさっており、体を動かす時間だけを増やす設計とは内容が違います。家庭でも、稽古に通う相談と、画面をいつ使うかの相談を別々の項目にしておくと、研究の取り組みとの差が見えやすくなります。

Cardoso(2026)は、子どもと若者への運動の介入を扱うランダム化試験から、条件に合う 4 本、合計 685 人を集めました。ランダム化試験は、参加者などを偶然に任せて組に振り分け、組のもともとの違いを抑えて比較する試験です。この系統的レビューは、研究を選ぶ条件を決めて集め直し、運動への働きかけと画面の時間の管理を組み合わせた結果を検討しています。

Cardoso(2026)がまとめた結果も、画面を使う行動を含む、座りがちな行動が減る方向でした。ただし、運動だけの効果と画面利用を管理した効果は分けられていません。家庭への手掛かりは、習い事の枠を増やすことに加え、画面の利用を確かめる仕組みも取り組みの中にあった点です。

座る時間と動く時間は単純には置き換わらない

Pearson(2014)は、18 歳未満を対象とする観察研究 163 本から、独立した 254 集団のデータを集めました。複数の研究の数値を合わせ、全体としてどれほどの関連があるかを見積もるメタ分析です。調べたのは画面利用だけでなく、座って過ごすさまざまな行動と運動量の関係でした。

Pearson(2014)による関連の強さは、相関係数 -0.108 と小さなものでした。相関係数は、片方が多い人ほどもう片方が多いか少ないかという、集団での結びつきの強さと向きを示します。座りがちな行動が多いほど運動が少ない方向でしたが、著者は、両者が直接置き換わる関係を支持するほど強い結びつきではないとまとめています。

Marshall(2004)は、画面の使い方を分け、ゲームと運動の関係を調べています。ゲームについては 10 集団、119,942 人のデータで相関が -0.104、テレビと運動の相関は -0.096 でした。どちらも逆向きの小さな関連で、ゲームだけが運動時間を強く押しのけるという単純な見方とは距離があります。

画面を使っていない時間にも、座って過ごす活動はあります。そのため、家庭でゲームの時間が短くなったときには、その後に何をして過ごしたかまで見ると、運動が増えたかを区別できます。反対に、稽古で体を動かす機会が増えたときも、画面の時間の変化は別に数える必要があります。

これらの分析は子どもの普段の行動を比べたもので、ゲームを禁止する方法を試した研究ではありません。また、Marshall(2004)の対象となる時代は、携帯端末や動画配信が広く使われる現在より前です。古いデータから今の利用の細部を予測するより、画面利用と運動を同じ物差しの両端として扱わないための根拠として読むのが適切です。

成長とともに変わる生活を追った研究

Lizandra(2019)は、スペインの思春期の子ども 755 人を 3 年間追いました。同じ集団を時間の経過に沿って調べる追跡研究で、画面を使う時間と中〜高強度の運動の変化を比較しています。中〜高強度の運動は、ゆっくりした動きより体への負荷が大きい活動を指し、単に家の外にいた時間とは分けて扱われます。

Lizandra(2019)では、年齢が上がるにつれて画面の時間は増え、運動は減る傾向でした。それでも、全体の解析では、画面の時間が運動を押しのけるという仮説を支持する証拠は得られませんでした。増えたものと減ったものが同時にあることと、前者が後者を減らしたことは、研究上は別に確かめる必要があります。

Lizandra(2019)で男子だけを分けて見ると、画面の時間の長さと 3 年後の運動の少なさに部分的な関係が見られました。全体の結果と男子での結果を並べると、性別によって関係の現れ方が異なる点が残ります。男子の結果だけを採用して、子ども全体の時間の取り合いを説明するのは行き過ぎになります。

家庭で稽古の前後を比べる際にも、変化が起きた時期には目を向けられます。画面利用が増えた時期と、運動する予定が変わった時期を並べて書けば、同じ時期なのか、ずれているのかを見返せます。研究のように原因を切り分ける分析ではなくても、直近の印象だけで稽古の効果を判定しない記録になります。

追跡調査は時間の順を見られる点で、一時点だけの比較とは役割が違います。一方、研究者が画面の利用時間を決めて運動の変化を試したわけではなく、成長の中で起こる行動を追っています。この研究は、ゲームと運動のどちらかだけを変えれば生活全体も連動する、という期待を見直す材料になります。

調べ方の違いを表で見比べる

参加の有無を比べた調査、学校での介入、研究を集めた分析では、答えられる問いが異なります。稽古を考える保護者にとっては、よい結果が出たかだけでなく、誰に何を加えた結果なのかが判断の要所です。以下では、研究の対象と調べ方を、画面の時間に関する結果と並べています。

研究(著者 年) 対象と人数 調べ方 わかったこと
Yman(2023) 13〜14 歳の 1,139 人 スポーツ参加と生活を同じ時点で調査 頻繁に参加する子は画面時間が短い傾向
Ahmed(2022) 8〜9 年生、各組 160 人 学校で 12 週の運動と健康教育などを実施 運動が増え、画面時間が減る方向
Cardoso(2026) 子どもと若者 685 人 ランダム化試験 4 本を整理 運動と画面時間の管理の組み合わせで減る方向
Pearson(2014) 18 歳未満の 254 集団 観察研究 163 本を統合 座りがちな行動と運動の関連は小さい
Marshall(2004) ゲームの分析は 119,942 人 ゲームやテレビと運動の関連を統合 ゲームでもテレビでも関連は小さい
Lizandra(2019) 思春期の 755 人 3 年間の行動の変化を追跡 全体では画面が運動を押しのける仮説を支持せず

表の介入研究では、画面の時間が変わる可能性を、実際に働きかけて調べています。観察研究では、普段の暮らしの中で両方の行動がどう結びついているかを調べています。家庭で使える視点も、取り組みの中身を考えることと、今の生活の関連を決めつけずに見ることにわかれます。

結果がよい方向だった学校の取り組みを読むときは、教育や管理まで含めて見る必要があります。逆に、観察研究で関連が弱かったことだけを理由に、家庭で画面の利用について話すことを無意味と決める必要もありません。調べた問いに沿って結果を読むと、稽古への期待を過大にも過小にもせずに扱えます。

家庭では通った時間と画面の利用を別々に見直す

家庭で始めるなら、まず現在の画面利用を、ゲームと動画などの用途に分けて書き留めるところから考えられます。稽古を始めた後は、通った日と通わない日で同じ項目を残すと、比べる対象がそろいます。子どもが覚えている時間と保護者が見ていた時間に違いがあれば、その違いも残し、印象だけで長いと決めないようにします。

Yman(2023)では、スポーツに頻繁に参加する子は画面の時間が短い一方、平日の睡眠が短い傾向もありました。画面の時間だけを成果にすると、生活の別の部分へのしわ寄せを見落とすおそれがあります。稽古の日には画面の時間と寝る時刻を同じ記録に置き、就寝が後ろにずれる様子が続くなら、参加する曜日や帰宅後の過ごし方を調整する材料にします。

画面が減らないからといって、すぐに稽古の回数を増やす必要はありません。Pearson(2014)と Marshall(2004)の小さな関連を踏まえると、画面利用の管理と運動する機会の確保は、別々に見直すほうが筋が通ります。子どもが稽古そのものを嫌がっているときは、ゲームを減らす目的だけで予定を追加する進め方をいったん止め、参加の意思を確かめます。

稽古を検討する際は、活動の内容と終了時刻を確認し、家庭の予定にどう収めるかを考えます。ゲームの時間が短くなることだけを条件にせず、本人が取り組みたい動きか、続けられる予定かも話す対象になります。これは研究で効果が確定した手順ではなく、複数の生活行動を分けて見るという結果を家庭の相談に生かすための視点です。

記録を見返すときは、運動する機会が増えた点と画面の使い方が変わった点を別々に受け止めます。変化が乏しい項目には、その項目に関わる約束や予定を検討し直します。稽古への参加と自宅での記録を照らし合わせ、画面を使う時間帯と稽古の予定を見直します。

よくある質問

稽古に通えばゲームの時間は減るのか

減る可能性を示すのは、運動に加えて健康教育や画面利用の管理も含めた取り組みです。Ahmed(2022)や Cardoso(2026)を手掛かりにするなら、通う予定を作ることと、画面をいつ使うかを考えることの両方に目を向けます。空手への参加だけで減る量を予測する根拠はなく、家庭では通ったかどうかと利用時間の変化を別々に見ていく必要があります。

ゲームを減らせば自然に運動するようになるのか

Pearson(2014)は、座りがちな行動と運動量の結びつきが小さく、直接の置き換えではないとまとめています。ゲームをやめた後にも、別の座る活動を選ぶことは考えられます。画面の時間をどう扱うかに加え、子どもが取り組みたい運動と、それを行える時間を別に相談すると、何が変わったかを追いやすくなります。減った画面時間だけで運動量の増加を判定しないことが要点です。

画面の時間が変わらなければ稽古は失敗なのか

画面の利用と運動する機会は、それぞれに結果を見る項目です。Marshall(2004)ではゲームと運動の関連が小さく、運動の変化だけで画面利用の変化を説明する見方は支えられていません。稽古で体を動かす機会が増え、本人が続けたいと感じているなら、その点も別に受け止められます。画面が減らなかったという理由だけで稽古全体を評価せず、家での利用の仕方を改めて話す対象にします。

この記事の限界

比較の条件は、普段のスポーツ参加、学校での複数の働きかけ、成長に伴う生活の変化と幅があり、空手を始めた子どものゲーム時間を直接比べた研究は含まれていません。改善が見られた介入には健康教育や画面利用の管理も加わり、それぞれが担った効果は未分離です。学校の介入が終わった後の持続性や、家庭だけで同じ取り組みを続けた場合の変化も課題として残ります。

画面の時間の数え方は本人の申告に頼る研究が多く、思い出し方による誤差や、ゲームと動画を含める範囲の違いが結果に影響します。テレビやゲームを中心にした過去の研究と現在の端末利用には環境の差もあり、稽古の日の変化を捉えるには、画面を使う用途ごとの検証が欠かせません。

参考文献

  1. Yman J. Associations between organised sports participation, general health, stress, screen-time and sleep duration in adolescents. Acta Paediatr. 2023;112(3):452-459.
  2. Ahmed KR. Effectiveness of a school-based intervention on physical activity and screen time among adolescents. J Sci Med Sport. 2022;25(3):242-248.
  3. Cardoso CL. Analysis of Physical Activity Interventions Related to Screen Time in Children and Adolescents: A Systematic Review of Randomized Clinical Trials. Health Educ Behav. 2026;53(2):215-225.
  4. Pearson N. Associations between sedentary behaviour and physical activity in children and adolescents: a meta-analysis. Obes Rev. 2014;15(8):666-675.
  5. Marshall SJ. Relationships between media use, body fatness and physical activity in children and youth: a meta-analysis. Int J Obes Relat Metab Disord. 2004;28(10):1238-1246.
  6. Lizandra J. Screen time and moderate-to-vigorous physical activity changes and displacement in adolescence: A prospective cohort study. Eur J Sport Sci. 2019;19(5):686-695.

技の名前を調べた次は、組手の痛みと礼儀を稽古場で確かめる

  • 向く人: 技の名前や由来を知ったうえで、型と組手で実際に体を動かしたい大人
  • 向く人: けがの防ぎ方と礼儀の教え方を見てから、子どもに空手を習わせたい保護者
  • 向かない人: 相手を倒す技だけを早く覚えたい人
  • 向かない人: 医師から打撃や接触のある運動を止められている人

このサイトはワールド極真会空手連盟 東京支部が制作しています。稽古場はオンザショア立川店(立川駅から徒歩1分・溶岩プレートの床のスタジオ)です。

オンザショア立川店の空手(ワールド極真会 東京支部)クラス案内

よくある質問

稽古に通えばゲームの時間は減るのか

減る可能性を示すのは、運動に加えて健康教育や画面利用の管理も含めた取り組みです。Ahmed(2022)や Cardoso(2026)を手掛かりにするなら、通う予定を作ることと、画面をいつ使うかを考えることの両方に目を向けます。空手への参加だけで減る量を予測する根拠はなく、家庭では通ったかどうかと利用時間の変化を別々に見ていく必要があります。

ゲームを減らせば自然に運動するようになるのか

Pearson(2014)は、座りがちな行動と運動量の結びつきが小さく、直接の置き換えではないとまとめています。ゲームをやめた後にも、別の座る活動を選ぶことは考えられます。画面の時間をどう扱うかに加え、子どもが取り組みたい運動と、それを行える時間を別に相談すると、何が変わったかを追いやすくなります。減った画面時間だけで運動量の増加を判定しないことが要点です。

画面の時間が変わらなければ稽古は失敗なのか

画面の利用と運動する機会は、それぞれに結果を見る項目です。Marshall(2004)ではゲームと運動の関連が小さく、運動の変化だけで画面利用の変化を説明する見方は支えられていません。稽古で体を動かす機会が増え、本人が続けたいと感じているなら、その点も別に受け止められます。画面が減らなかったという理由だけで稽古全体を評価せず、家での利用の仕方を改めて話す対象にします。