ワールド極真会空手連盟 東京支部立川駅北口の稽古場と、空手を始める前に読む資料室

公開:2026年10月17日/最終更新:2026年11月5日

見学席から声をかける親|親の応援と子どもの重圧の研究

見学席からの励ましは、子どもの支えになるのでしょうか、それとも重圧になるのでしょうか。親の関わりには支えとなる面がある一方、親が応援のつもりでも子どもが同じように受け取るとは限らず、本人の希望を聞くことが出発点になります。 空手の見学や声かけを直接調べた研究はなく、ここで扱うのは主に球技などに参加する青少年の調査です。

この記事の要点
  • Bois(2009)は、バスケットボールの選手 201 人とテニスの選手 140 人、合わせて 341 人を公式戦の前に調べました。
  • Mallett(2023)は、オーストラリアのジュニアラグビーリーグに参加する 8〜16 歳の選手の親 1,418 人を匿名で調べました。
  • Furusa(2020)は、8〜12 歳の子ども 31 人と親 26 人から、集団での話し合いを通じて意見を集めました。
  • Tamminen(2020)は、14〜19 歳のアイスホッケー選手 366 人を対象に、親向けの講習を導入したリーグと、比較するリーグでの経験を調べました。

見学席から声をかける親|親の応援と子どもの重圧の研究

見学席からの励ましは、子どもの支えになるのでしょうか、それとも重圧になるのでしょうか。親の関わりには支えとなる面がある一方、親が応援のつもりでも子どもが同じように受け取るとは限らず、本人の希望を聞くことが出発点になります。 空手の見学や声かけを直接調べた研究はなく、ここで扱うのは主に球技などに参加する青少年の調査です。

試合会場で組手を見守りながら、名前を呼ぼうか、黙って見ようかと迷うこともあります。来てほしいという希望と、競技中に声をかけてほしいという希望は、別々に聞けます。見に行くかどうかだけを決めても、客席での関わり方まで本人と共有したことにはなりません。

研究が扱うのも、試合前の不安、客席での親の行動、子どもが望む関わり、親子の評価の違いという別々の側面です。親が来た場合に不安が高かった調査にも、来なければ下がるという結果はなく、支える関わりと良い経験の結びつきを示す調査もあります。見学を一律に良いもの、悪いものと決めるより、誰が何を答えた結果なのかをたどると、家庭で聞くべきことが絞れます。

習い事を親が見学すると子どもはどう感じるか

Bois(2009)は、バスケットボールの選手 201 人とテニスの選手 140 人、合わせて 341 人を公式戦の前に調べました。注目したのは、両親がその場にいることと、子どもが試合前に感じる不安との関係です。競技を終えた後の満足感や、長い期間にわたる親子関係を評価した結果とは、測っている場面が異なります。

Bois(2009)では、男子テニスを除き、両親がそろって見ていることが不安の高さと結びついていました。一方、両親が来ていないと不安が下がるという関係も見られませんでした。親がいる場合の結果と、いない場合の結果を両方残して読むと、在席の有無だけで不安が決まるという単純な図式にはなりません。

この調査は同じ時点の状態を尋ねる横断調査です。親が見に来たために不安が高まったのか、重要な試合で不安が高く、親も見に来ていたのかという順序までは捉えていません。親の在席が原因だと決めてしまうと、調査が実際に比べた条件よりも話を広げることになります。

また、Bois(2009)の調査では競技と性別によって結果がそろっておらず、男子テニスは別の結果でした。観戦する親がいるという共通点だけで、個人競技とチーム競技、そこで競技する子どもをひとまとめに扱うと、この違いが消えます。家庭での見学については、親が来ることへの希望と、来た親にしてほしいことへの希望を、本人の言葉で別々に聞くという使い方ができます。

客席のふるまいは親と子で違う角度から測られる

Mallett(2023)は、オーストラリアのジュニアラグビーリーグに参加する 8〜16 歳の選手の親 1,418 人を匿名で調べました。親自身が答えたのは、客席での行動や感情の反応、子育ての関わり方などです。子どもを自分の意図に従わせようとする統制的な子育てや、勝利を重く見る考え方が、客席でのふるまいと結びついていました。

同じ Mallett(2023)では、父親は母親より、不適切な観戦行動や否定的な感情の反応を多く報告しました。匿名で自分の行動を振り返る形であり、調査員が客席を観察して数えた結果とは性質が異なります。回答者には母親が多く、子どもの気持ち自体は測っていないため、ここで得られたのは親の行動についての自己評価です。

対して McCabe(2023)は、オーストラリアのチーム競技の青少年 67 人にオンラインで尋ねました。子どもが見た親の客席でのふるまいと、過去 1 か月の自分の競技中の行動を照らしています。親の肯定的なふるまいは、他者を助けるなどの向社会的な行動と、否定的なふるまいは他者を害するような反社会的な行動と結びついていました。

McCabe(2023)の結果には、親の否定的な側面だけでなく、肯定的な側面との結びつきもあります。ただし、親の行動と自分の行動を同じ子どもが回答しており、その子の受け止め方が両方の答えに反映される構造です。著者が予備的な証拠と位置づけるこの結果は、親の自己評価を集めた Mallett(2023)と並べることで、調査の答え手を明らかにする大切さを示しています。

子どもの望みは試合の前・最中・後で尋ねる

Furusa(2020)は、8〜12 歳の子ども 31 人と親 26 人から、集団での話し合いを通じて意見を集めました。こうした方法はフォーカスグループと呼ばれ、参加者の語りから共通する経験や希望を探ります。競技はホッケー、サッカー、ゴルフ、体操、水泳、テニスにまたがり、試合の前・最中・後にどんな関わりを望むかが扱われました。

Furusa(2020)で挙がったのは、子どもの希望を理解して支えることや、競技の外にいる自分も認めることでした。勝敗や技のできだけに関心を向けるのでなく、子どもがどう関わってほしいと語るかに目を向けた研究です。親がどれほど熱心かという量だけでは表しにくい、関わりの中身が見えてきます。

この研究の中心は、楽しさの変化を点数で比べることより、子どもや親の言葉から関わり方を捉えることにあります。少人数でも、試合のどの時点の話かを分けて尋ねることで、「応援してほしい」という答えの中身を詳しく聞けます。反対に、希望として語られた内容と、それを実行した後に楽しさが増えるかどうかは、別の測定を要する問いです。

家庭で尋ねる際も、観戦に来てほしいかという問いだけで終わらず、始まる前にどんな関わりを望むか、競技中はどんな声がほしいか、終わった後はどう関わってほしいかと場面を示せます。これは聞き方の例であり、子どもによって答えが違うことを受け止めるための区切りです。親が期待する返事を先に置くより、本人が望む関わりを言葉にする余地を残します。

同じ子でも、前と最中で希望が違うという答えなら、その違いをそのまま扱えます。親が考える望ましい応援像にまとめ直さず、声がほしい場面と静かに見てほしい場面を聞き取ります。応援の形は本人に聞きます。

親の講習後に改善したことと、講習以外でも変わったこと

Tamminen(2020)は、14〜19 歳のアイスホッケー選手 366 人を対象に、親向けの講習を導入したリーグと、比較するリーグでの経験を調べました。調査は 3 年にわたりますが、複数回の回答がそろい、時間に沿った分析に入った選手は 83 人でした。全体として参加した選手の広がりと、同じ選手の変化を追えた範囲の両方を示した調査です。

Tamminen(2020)では、相手への反社会的な行動の改善が、親の講習を導入したリーグでより大きくなっていました。その一方で、多くの項目は講習を導入したかどうかにかかわらず改善しました。講習があったリーグの変化だけを拾うと、比較するリーグでも起きていた変化が見えなくなります。

参加者をくじ引きのように無作為に振り分けた試験とは異なり、リーグどうしを比べる設計でした。親の客席での行動そのものも測定していません。研究の焦点は子どもの心理面や対人行動に関わる経験であり、講習を受けた親がどんな声に変えたかを直接記録したものではありません。

ここで区別するのは、親に学ぶ機会を設けたこと、子ども側に変化があったこと、比較するリーグと変化の大きさが異なったことです。Tamminen(2020)で講習導入側に大きな改善があったのは相手への反社会的な行動で、多くの項目では共通の改善が見られました。親の学びを検討する材料にするときも、子どものどの経験が変わったのかに即して読むと、講習への期待を絞れます。

親の自己評価と子どもの実感を並べる

Morbée(2023)は、青少年の選手 331 人と、最も競技に関わる親を調べました。親は、自分の関わり方を子どもの評価よりも肯定的に捉えており、親の報告から子どもの経験を予測する力は乏しい結果でした。応援しようとした側の認識と、応援を受けた側の経験にずれがあるという点が、この比較の中心です。

Morbée(2023)は、親の関わりの良い面も示しています。子どもが親を「支える型」と感じていた場合に結果が最もよく、関わりの薄い親の子では悪い結果は少ないという違いがありました。関わりの薄さと支える関わりを同じものにせず、子どもがどのような関わりと感じたかを捉えています。

Dorsch(2016)でも、11〜13 歳の選手と親を含む最終 201 家族の調査で、本人、配偶者、子どもの報告の一致は低い結果でした。同時に、親子関係の温かさ、親の肯定的な感情、上達を重視する指導者の雰囲気が、支えや圧力と結びついていました。客席に限った調査ではなく、競技を取り巻く関係も含めた捉え方です。

これらの研究を並べると、親が自分について答える場合、子どもが親について答える場合、親子の双方が答える場合が含まれます。表では各研究の答え手と結果を対応させ、負担の方向の結果も、良い方向の結果も残しました。人数と対象は、その結果を出した研究ごとに示します。

研究 対象 人数 誰が答えたか 結果の向き
Bois(2009) バスケットボールとテニスの選手 選手 341 人 選手 男子テニス以外で両親の在席と試合前の不安の高さが関連。不在でも不安は下がらない
Mallett(2023) 8〜16 歳のラグビーリーグ選手の親 親 1,418 人 親 統制的な子育てや勝利重視と客席の行動が関連。父は母より不適切な行動を多く自己報告
McCabe(2023) チーム競技の青少年 選手 67 人 子ども 親の肯定的なふるまいと向社会的行動、否定的なふるまいと反社会的行動が関連
Furusa(2020) 8〜12 歳の複数競技の子どもと親 子ども 31 人、親 26 人 子どもと親 前・最中・後の希望を理解することや、競技外の自分も認めることを望む
Tamminen(2020) 14〜19 歳のアイスホッケー選手 選手 366 人、複数回答は 83 人 選手 講習導入側で相手への反社会的行動がより改善。多くの項目は講習の有無による違いなく改善
Morbée(2023) 青少年の選手と最も関わる親 選手 331 人と親 子どもと親 親の自己評価は子どもの評価より肯定的。子どもが支える型と感じた親の子で最も良い結果
Dorsch(2016) 11〜13 歳の選手と親 最終 201 家族 本人・配偶者・子ども 報告の一致は低い。関係の温かさや肯定的な感情が支え・圧力と関連

見学の予定と声の届き方を子どもと確かめる

家庭で確かめることは、本人が何を望むかを聞くことと、実際の声かけをどう受け取ったかを親だけで決めないことです。前者は見学前に共有する希望で、後者は関わりを受けた本人の感想です。親が望みどおりにしたと思っていても、本人に尋ねる欄を残すと、意図と受け止め方を並べて話せます。

たとえば、声をかけてほしいという希望があれば、どの場面で、どんな関わりを想像しているかを聞けます。静かに見てほしいという希望なら、その答えを受け取ったうえで、来ること自体への希望も聞けます。いずれも、見学の可否と声かけの仕方をひとまとめにせず、本人が答えた内容に沿って話を進める例です。

声をかけた後に尋ねるときも、親の「励ました」という説明と、子どもの「どう感じたか」という説明を両方置きます。Morbée(2023)や Dorsch(2016)で親子の評価が一致しにくかった点を踏まえるなら、親の善意だけを根拠に子どもの気持ちまで代弁しない姿勢が役立ちます。反対に、答えが違ったことだけで、親の関わりをすべて否定する必要もありません。

本人が望んでいない声かけは、見学時の関わり方を相談する際の見直しの対象にできます。稽古や試合への関心を示す方法として何を望むか、すでに行っている応援の何をどう感じるかを聞き、親の熱心さの評価に話をすり替えないようにします。子どもの希望と実際の受け止め方を照らして、次に見学するときの関わり方を決めます。

よくある質問

両親で見に行かないほうがよいのか

Bois(2009)では、両親の在席と不安の高さが結びついた一方、不在で不安が下がるという結果も出ていません。競技と性別で違いがあり、試合前の同じ時点を調べた結果なので、見に行く人数を減らすという一律の決まりには結びつきません。本人には、来てほしいかという希望と、来たときにどのように見てほしいかという希望を分けて尋ねられます。

肯定的な声なら子どもも支えと感じるのか

McCabe(2023)では、子どもが捉えた親の肯定的なふるまいと、子どもの向社会的な行動に関連がありました。一方、Morbée(2023)では、親の自己評価は子どもの評価より肯定的でした。親が良い言葉を選んだと思ったときも、その声が子どもにどう届いたかは本人の答えを聞き、親の意図と併せて捉えます。

親向けの講習を受ければ子どもの経験は良くなるのか

Tamminen(2020)では、講習を導入したリーグで相手への反社会的な行動の改善が大きかった一方、多くの項目は導入していない側でも改善しました。親の客席での行動自体を測った調査ではなく、受講から声かけの変化を経て子どもの経験が変わるまでの過程は未解明です。講習の評価は、実際に測った子どもの行動や経験に沿って捉えます。

この記事の限界

比較の中心は球技などに参加する青少年とその親で、同じ時点の回答を照らした調査が多くを占めます。親の在席、客席のふるまい、関わり全般という測定対象の違いがあり、楽しさや不安、競技中の行動もそれぞれ別の結果です。講習を扱った研究も無作為な振り分けではなく、繰り返し回答した選手が限られています。

親の声かけの測り方は、親の自己評価と子どもの評価で異なり、同じ子どもが親と自分の行動の両方を答える調査も含まれます。声の内容や場面を実際に変えた後の受け止め方を追う証拠は乏しく、空手での声かけと子どもの経験との関係も、他競技の調査から推測する域を出ません。

参考文献

  1. Bois JE. The influence of parenting practices and parental presence on children’s and adolescents’ pre-competitive anxiety. J Sports Sci. 2009;27(10):995-1005.
  2. Mallett CJ. Understanding Parenting Behavior in Junior Rugby League in Australia. J Child Fam Stud. 2023;33(1):271-287.
  3. McCabe LP. Monkey see, monkey do? Exploring parent-athlete behaviours from youth athletes’ perspective. Front Sports Act Living. 2023;5:1292812.
  4. Furusa MG. Parental involvement and children’s enjoyment in sport. Qual Res Sport Exerc Health. 2020;13(6):936-954.
  5. Tamminen KA. Examining the impact of the Respect in Sport Parent Program on the psychosocial experiences of minor hockey athletes. J Sports Sci. 2020;38(17):2035-2045.
  6. Morbée S. Identifying profiles of parental (de)motivating behaviors in youth sports: A multi-informant approach. Motiv Emot. 2023;47(6):990-1006.
  7. Dorsch TE. Individual, relationship, and context factors associated with parent support and pressure in organized youth sport. Psychol Sport Exerc. 2016;23:132-141.

技の名前を調べた次は、組手の痛みと礼儀を稽古場で確かめる

  • 向く人: 技の名前や由来を知ったうえで、型と組手で実際に体を動かしたい大人
  • 向く人: けがの防ぎ方と礼儀の教え方を見てから、子どもに空手を習わせたい保護者
  • 向かない人: 相手を倒す技だけを早く覚えたい人
  • 向かない人: 医師から打撃や接触のある運動を止められている人

このサイトはワールド極真会空手連盟 東京支部が制作しています。稽古場はオンザショア立川店(立川駅から徒歩1分・溶岩プレートの床のスタジオ)です。

オンザショア立川店の空手(ワールド極真会 東京支部)クラス案内

よくある質問

両親で見に行かないほうがよいのか

Bois(2009)では、両親の在席と不安の高さが結びついた一方、不在で不安が下がるという結果も出ていません。競技と性別で違いがあり、試合前の同じ時点を調べた結果なので、見に行く人数を減らすという一律の決まりには結びつきません。本人には、来てほしいかという希望と、来たときにどのように見てほしいかという希望を分けて尋ねられます。

肯定的な声なら子どもも支えと感じるのか

McCabe(2023)では、子どもが捉えた親の肯定的なふるまいと、子どもの向社会的な行動に関連がありました。一方、Morbée(2023)では、親の自己評価は子どもの評価より肯定的でした。親が良い言葉を選んだと思ったときも、その声が子どもにどう届いたかは本人の答えを聞き、親の意図と併せて捉えます。

親向けの講習を受ければ子どもの経験は良くなるのか

Tamminen(2020)では、講習を導入したリーグで相手への反社会的な行動の改善が大きかった一方、多くの項目は導入していない側でも改善しました。親の客席での行動自体を測った調査ではなく、受講から声かけの変化を経て子どもの経験が変わるまでの過程は未解明です。講習の評価は、実際に測った子どもの行動や経験に沿って捉えます。