ワールド極真会空手連盟 東京支部立川駅北口の稽古場と、空手を始める前に読む資料室

公開:2026年10月17日/最終更新:2026年10月23日

かかとが痛いと言う子ども|裸足の稽古とシーバー病の研究

稽古場で跳ぶ練習が終わり、子どもがかかとを浮かせて「ここが痛い」と言ったとします。裸足で踏み込んだせいなのか、成長期の痛みなのか、次の稽古を休ませるべきなのかと迷う場面です。痛みのある動きはいったん止め、痛みが続く場合や歩き方が変わる場合は受診し、その後の稽古と対処を相談します。

この記事の要点
  • 踵骨は、かかとを形づくる骨の名前です。
  • Nieto-Gil(2023)は、踵骨骨端症に関係する条件を調べた系統的レビューを報告しました。
  • 靴の中に入れる中敷きの話を聞いても、裸足の稽古ではどう使うのかという疑問が残ります。
  • Wiegerinck(2016)は、オランダの 8〜15 歳の患者 101 人を対象に、経過観察、かかとを高くする中敷き、理学療法のもとで行う運動を比較しました。

かかとが痛いと言う子ども|裸足の稽古とシーバー病の研究

稽古場で跳ぶ練習が終わり、子どもがかかとを浮かせて「ここが痛い」と言ったとします。裸足で踏み込んだせいなのか、成長期の痛みなのか、次の稽古を休ませるべきなのかと迷う場面です。痛みのある動きはいったん止め、痛みが続く場合や歩き方が変わる場合は受診し、その後の稽古と対処を相談します。

かかとの成長途中の部分に痛みが出る踵骨骨端症は、子どものかかとの痛みで考えられる病気です。原因や病名は、稽古の前後の様子も含めて診察で確かめます。保護者がまず伝えるのは、「裸足が悪かった」という結論ではなく、いつ、どこに、どんな動きで痛みが出たかです。

治療の研究には、装具を使った子どもだけでなく、経過を観察した子どもでも痛みが減ったという結果があります。Wiegerinck(2016)は、経過観察、中敷き、運動療法を比べ、痛みの減り方に有意な差を認めませんでした。ここから考えたいのは、用具を急いで選ぶことより、診断と症状に応じて対処を選ぶ順序です。研究の結果と、目の前の子どもの歩き方を、それぞれ判断の手掛かりにします。

シーバー病は成長途中のかかとの問題

踵骨は、かかとを形づくる骨の名前です。踵骨骨端症は、その骨の成長途中の部分に関係して痛みが生じる状態を指します。単に「成長痛」と呼んで済ませるより、痛む場所と運動との関係を診察で確かめることが大切です。

Wiegerinck(2014)は、オランダの家庭医 34 か所で、6〜17 歳の子どもの診療記録を調べました。16,383 件の記録から該当する子どもは 61 人で、登録患者 1,000 人あたり 3.7 人という発生の数字を報告しています。対象は一般の診療の場に登録された子どもであり、特定のスポーツの選手だけを集めた調査ではありません。

この調査の役割は、家庭医の診療でも扱われる病気だと示すことにあります。集計したのは家庭医に登録された子どもの診断で、稽古の回数や裸足で動いた時間との関係は調査の対象外です。診断名の記録と厳しい採用条件に基づく調査なので、著者らは実際の発生がもっと多い可能性にも触れています。

受診時には、かかとの後ろなのか底なのか、片側なのか両側なのかを子ども自身の言葉で伝えます。「稽古の後」という情報に加えて、跳んだ着地で痛むのか、歩いているときにも痛むのかを分けて話すと、訴えの内容が具体的になります。保護者が病名を当てるために、何度も跳ばせたり、強く押して痛みを再現したりする必要はありません。

また、この病気を扱う研究の中心は、骨が成長する時期の子どもです。大人にもかかとの痛みはありますが、子どもの試験をもとに同じ病気として用具を選ぶのではなく、年齢と症状に応じた診察を受けます。親子で同じ場所が痛んでも、診断を共有する理由にはなりません。

足首の硬さや足の形は、原因と決まったわけではない

Nieto-Gil(2023)は、踵骨骨端症に関係する条件を調べた系統的レビューを報告しました。系統的レビューとは、決めた条件で研究を探し、結果をまとめる方法です。このレビューは 18 歳未満を扱う観察研究 11 本、1,265 人を含み、参加者の平均年齢は 10.72 歳でした。

よく調べられていたのは、足首を上へ曲げる背屈という動きの制限です。足裏にかかる圧力や、足の並び方・形も挙げられ、体格、年齢、性別、運動との関係も検討されていました。ただし、どの条件が発症に先立つ要因で、どれが痛みに伴う変化なのかについて、研究者の見方は一致していません。

たとえば、痛みのある子どもの足首が動かしにくかった場合、「もともと硬かった」と「痛みがあって動かしにくい」は違う説明です。観察研究は、自然に起きている状態を調べる設計なので、柔らかさを変える治療の効果を直接比べる試験とは役割が異なります。測定した状態と、対応によって変わった結果を区別して読みます。

足の形が似ている、体格が大きい、運動をよくするという特徴だけで、子どもを発症しやすい集団に決めつけるのも早計です。研究で挙げられた項目は、診察で状態を把握する視点として受け止めます。痛みのある子どもに対して、「硬いからもっと伸ばそう」と強い運動を追加する判断とは分ける必要があります。

稽古の内容を伝えるときも、原因を推測する言葉より、実際に行った動きの説明を優先します。跳ぶ練習、踏み込み、移動などのうち、本人が痛みを訴えた場面を挙げ、最近の内容の変更があればそれも伝えます。こうした記録は診断の代わりではなく、医師が痛みと活動の関係を聞く際の具体的な説明です。

裸足の競技で比べたのは、装具の種類

靴の中に入れる中敷きの話を聞いても、裸足の稽古ではどう使うのかという疑問が残ります。Sweeney(2023)は、この点に近い条件として、裸足で競技をする子どもの装具を調べました。米国の小児スポーツ外来で、踵骨骨端症のある 7〜14 歳の競技者 43 人が参加しています。

試験では、裸足で着けるかかとのカップ型の装具と、足首に巻く型の装具へ無作為に割り付けました。無作為化比較試験は、くじ引きのような方法で組を分け、比べる条件をそろえようとする研究です。終了まで参加したのは 32 人で、その内訳は女子 29 人、男子 3 人でした。

結果は、時間の経過とともに両群の足首や足の働きが改善し、3 か月時点の群間の差は認められないというものでした。足の働きとは、痛みだけでなく、活動の中で足を使う状態を含む評価です。装具の形が違っても、今回の比較では片方が明確に優れる結果にはなっていません。

大事なのは、この試験に装具を着けない群がないことです。したがって、両群の改善をすべて装具の効き目と考えることも、裸足の空手で装具さえ着ければ痛みを押して稽古を続けられると考えることもできません。終了した人数は少なく、女子に偏り、評価には本人の回答を使った尺度が含まれています。

裸足という共通点はあっても、空手の稽古を対象に効果や使用中の安全を確かめた試験ではありません。実際に装具が提案された場合は、何を軽減するために使うのか、どの活動で使うのか、症状がどう変われば見直すのかを診療側に聞きます。稽古への参加については、医師の指示を伝えたうえで、装着した状態で行う内容を指導者と調整します。

経過観察でも改善した試験の読み方

Wiegerinck(2016)は、オランダの 8〜15 歳の患者 101 人を対象に、経過観察、かかとを高くする中敷き、理学療法のもとで行う運動を比較しました。理学療法は、体の状態に合わせた運動などで動く機能を支える医療上の対応です。家庭で思いついた柔軟運動を追加することと、同じ内容として扱うものではありません。

この試験では、3 か月でいずれの群もかかとの痛みが減りました。改善は統計的に有意であるだけでなく、臨床上も意味のある変化と評価されましたが、治療法どうしで痛みの減り方に有意な差はありませんでした。比べた治療法の優劣がつかなかったという結果と、参加した子どもの症状が軽くなったという結果が並んでいます。

途中の 6 週の時点では、中敷きの群の満足度が高かったことも報告されています。満足度は、痛みの減少そのものとは別の評価です。途中で満足していることと、追跡の終わりに痛みがどれだけ減ったかを分けると、同じ試験の中にある結果の違いを理解できます。

経過観察という言葉は、診断後に状態の変化を見ていく対応を指します。受診せずに病名を決め、痛みが出ても練習内容を変えず放置することを意味しません。治療を比べる試験の経過観察を選んだ子どもと、まだ原因を調べていない子どもでは、判断の出発点が違います。

この研究が比較したのは、診断を受けた子どもの短期の痛みの変化です。経過観察も選択肢に含め、症状の程度や生活への支障に合わせて医師と相談する、という読み方になります。保護者からは、痛みの強さに加え、歩く、走る、稽古に参加するといった活動のどこに支障があるかを伝えます。

研究を並べると、用具を選ぶ根拠の幅が見える

James(2013)は、子どもや青少年の踵骨骨端症の治療を扱った 9 本の研究をまとめました。そのうち無作為の割り付けを含む臨床試験は 3 本で、ほかには患者の経過をまとめた報告などが含まれていました。研究どうしの数字を一緒に計算する分析は行えず、中敷きや装具を支える根拠は限られると結論づけています。

このレビューの検索は 2012 年までで、後の Wiegerinck(2016)や Sweeney(2023)の試験を含みません。古いレビューに試験が少なかったという事情と、その後に比較試験が加わったという経緯を合わせて読みます。後の試験も、特定の方法がほかより優れるという結論ではなく、比較した群のいずれにも改善があったという結果でした。

以下では、頻度を数えた調査、関係する要因を集めたレビュー、治療を比べた試験を並べます。各研究が答えている問いの違いに注目すると、用具の選択に使う結果と、病気の背景を理解する結果を区別できます。

研究(著者 年) 対象 比べたもの 結果 弱さ
Wiegerinck(2014) オランダの家庭医に登録された子ども 診療記録から発生を集計 登録患者 1,000 人あたり 3.7 人 診断名の記録に依存、運動歴なし
Nieto-Gil(2023) 子どもの観察研究 11 本 足首の動き、足の形、足裏の圧など 関係する条件について見解が不一致 原因と結果の区別が不統一
Sweeney(2023) 裸足の競技の参加者 カップ型と巻く型の装具 両群で改善、群間差なし 装具なしの群なし、女子が大半
Wiegerinck(2016) 踵骨骨端症の患者 101 人 経過観察、中敷き、運動療法 いずれも痛みが減少、群間差なし 追跡は 3 か月まで
James(2013) 治療研究 9 本 中敷きや装具などの研究を検討 使用を支える根拠は限定的 比較試験が少なく、検索時期も古い

痛みが出た日の稽古と、相談する内容

かかとが痛いと訴えたときは、痛みを出す跳躍や踏み込みを中断します。痛みは稽古を止める理由です。足を引きずる、かかとを避けて歩くなど、歩き方に変化がある子どもには、同じ動きを続けさせず、保護者と指導者で状態を共有します。

痛みが稽古の後も続く、繰り返す、歩くことにも支障がある場合は、整形外科や小児科で相談します。強く痛んで足をつけない場合は、その日の稽古を再開せず、速やかに医療機関へ連絡します。受診の際は、始まった時期、痛む側と場所、直前に打ったりひねったりした出来事の有無を伝えます。

診断を受けた後は、「休むか続けるか」という大きな選択だけでなく、どの活動を控えるかを具体的に相談します。裸足で行うこと、跳ぶ動きや強い踏み込みを含むことなど、稽古の内容を医師に説明します。見学に変えるのか、一部の動きを外すのかという参加方法は、診療側の指示と本人の症状に沿って指導者と決めます。

その後の変化を見る記録には、同じ動きで痛むか、普段の歩行でかばっていないか、稽古後に痛みが残るかを記します。記録するために痛みのある動作を繰り返させるのではなく、日常に現れた様子と本人の言葉を残します。用具を使っている場合は、着けた場面と、そのときの痛みや使いにくさも診療側へ伝えます。

研究で設けた追跡期間を、そのまま休養期間や再開日として予定表に入れることは避けます。中敷き、装具、運動療法を選んだ後も、再開の判断はその子の経過に合わせて行います。次の稽古に向けて共有する中心は、日付ではなく、今どの動きで痛みが出ているかです。

よくある質問

裸足をやめて靴を履けばよいか

履物を替える前に、痛みを起こしている動きと、診察で必要とされた対応を確認します。痛みがあるときは、まず痛む動きを止め、受診時に裸足で行う練習の内容を伝えたうえで、履物や用具を含む対応を相談します。中敷きの試験と裸足用の装具の試験は使う条件が違うので、稽古での使い方まで一緒に決める必要があります。

装具と中敷きのどちらを先に買えばよいか

Wiegerinck(2016)では経過観察も含めて痛みの減り方に差がなく、用具の購入を急ぐより、診断に基づく選択を優先します。まず痛みの原因と活動への支障を診察で確かめ、用具が提案されたら、目的と使う場面を聞きます。裸足で着けられるという性質だけで選ぶのではなく、その子の症状と稽古内容に合うかを相談します。

試験と同じ期間が過ぎたら元の稽古に戻してよいか

試験の追跡期間は集団の変化を比べるために設定されており、個人の再開時期は症状の経過に沿って決めます。診療側と相談し、歩行や予定している動作での痛み、その後に残る症状をもとに、参加内容を調整します。再開後に同じ痛みが繰り返す場合も、予定を優先して量を増やすのではなく、その経過を伝えて見直します。

参考文献

  1. Wiegerinck JI ほか. Incidence of calcaneal apophysitis in the general population. Eur J Pediatr. 2014;173(5):677-679.
  2. Nieto-Gil P ほか. Risk factors and associated factors for calcaneal apophysitis (Sever’s disease): a systematic review. BMJ Open. 2023;13(6):e064903.
  3. Sweeney EA ほか. Comparison of Braces for Treatment of Sever’s Disease (Calcaneal Apophysitis) in Barefoot Athletes: A Randomized Clinical Trial. J Athl Train. 2023;58(5):437-444.
  4. Wiegerinck JI ほか. Treatment of Calcaneal Apophysitis: Wait and See Versus Orthotic Device Versus Physical Therapy: A Pragmatic Therapeutic Randomized Clinical Trial. J Pediatr Orthop. 2016;36(2):152-157.
  5. James AM ほか. Effectiveness of interventions in reducing pain and maintaining physical activity in children and adolescents with calcaneal apophysitis (Sever’s disease): a systematic review. J Foot Ankle Res. 2013;6(1):16.

この記事の限界

対象は海外の一般診療を受けた子どもや裸足の競技の参加者が中心で、日本の子どもの空手を直接調べた研究は含まれていません。装具の試験には終了まで参加した人数の少なさと女子への偏りがあり、関連要因の研究では原因と結果の区別にもばらつきがあります。

ここでの研究の説明は、個別の診断や治療を決める医療上の助言に代わるものではありません。治療の比較は短期の症状を中心とし、装具の有害事象や長く使った場合の負担を含めた評価も課題として残ります。裸足の空手で休止や再開の内容をどう調整すると再発を減らせるか、用具による違いが長期に続くかは、今後の検証が必要です。

技の名前を調べた次は、組手の痛みと礼儀を稽古場で確かめる

  • 向く人: 技の名前や由来を知ったうえで、型と組手で実際に体を動かしたい大人
  • 向く人: けがの防ぎ方と礼儀の教え方を見てから、子どもに空手を習わせたい保護者
  • 向かない人: 相手を倒す技だけを早く覚えたい人
  • 向かない人: 医師から打撃や接触のある運動を止められている人

このサイトはワールド極真会空手連盟 東京支部が制作しています。稽古場はオンザショア立川店(立川駅から徒歩1分・溶岩プレートの床のスタジオ)です。

オンザショア立川店の空手(ワールド極真会 東京支部)クラス案内

よくある質問

裸足をやめて靴を履けばよいか

履物を替える前に、痛みを起こしている動きと、診察で必要とされた対応を確認します。痛みがあるときは、まず痛む動きを止め、受診時に裸足で行う練習の内容を伝えたうえで、履物や用具を含む対応を相談します。中敷きの試験と裸足用の装具の試験は使う条件が違うので、稽古での使い方まで一緒に決める必要があります。

装具と中敷きのどちらを先に買えばよいか

Wiegerinck(2016)では経過観察も含めて痛みの減り方に差がなく、用具の購入を急ぐより、診断に基づく選択を優先します。まず痛みの原因と活動への支障を診察で確かめ、用具が提案されたら、目的と使う場面を聞きます。裸足で着けられるという性質だけで選ぶのではなく、その子の症状と稽古内容に合うかを相談します。

試験と同じ期間が過ぎたら元の稽古に戻してよいか

試験の追跡期間は集団の変化を比べるために設定されており、個人の再開時期は症状の経過に沿って決めます。診療側と相談し、歩行や予定している動作での痛み、その後に残る症状をもとに、参加内容を調整します。再開後に同じ痛みが繰り返す場合も、予定を優先して量を増やすのではなく、その経過を伝えて見直します。