ワールド極真会空手連盟 東京支部立川駅北口の稽古場と、空手を始める前に読む資料室

公開:2026年10月17日/最終更新:2026年10月23日

眼鏡をかける子どもの組手|目のけがと保護めがねの研究

162 件の武道に関連した目のけがを調べた Oska(2025)では、最も多かったのは目の表面のすり傷でしたが、視力を脅かすけがも報告されています。更衣室で道着に着替え、眼鏡のケースを開けたところで、組手の間は外すべきか迷う保護者もいるでしょう。外したときの見えにくさと、かけたまま相手と接触する心配は、別々に考える必要があります。

この記事の要点
  • Haring(2016)は、米国の救急外来の全国標本を用い、2010〜2013 年のスポーツに関連した目のけがを調べました。
  • Hoskin(2015)は、眼鏡が目のけがに関わった文献と、衝撃に対する眼鏡の性能をまとめた総説です。
  • Kriz(2015)が調べたのは、米国の高校女子フィールドホッケーで保護めがねが全国的に義務化された前後です。
  • Yahalomi(2025)は、片目の視力が弱く、保護めがねを勧められたイスラエルの子ども 83 人について調べました。

眼鏡をかける子どもの組手|目のけがと保護めがねの研究

162 件の武道に関連した目のけがを調べた Oska(2025)では、最も多かったのは目の表面のすり傷でしたが、視力を脅かすけがも報告されています。更衣室で道着に着替え、眼鏡のケースを開けたところで、組手の間は外すべきか迷う保護者もいるでしょう。外したときの見えにくさと、かけたまま相手と接触する心配は、別々に考える必要があります。

眼鏡を使う子どもの組手では、見え方をどう保ち、目をどう守るかが問題になります。普通の眼鏡をかけたまま打ち合うことを前提にせず、眼科医に見え方と目の状態を相談し、指導者と参加する稽古の条件を決めるのが出発点です。 保護めがねには球技でけがの減少と結びついた研究があり、選ぶ際には素材や作りに加え、子どもが実際に着けられるかも検討に入ります。

「外す」「保護めがねを使う」「コンタクトレンズにする」は、それぞれ同じ問いへの答えではありません。普段の眼鏡は見え方を補う道具で、保護めがねについては衝撃への備えと着用のしやすさが論点になり、コンタクトレンズで組手をしてよいかは眼科医への相談事項です。まず、研究で記録されたけがと、保護の方法について調べられた結果を分けて読みます。

目のけがは、どのように記録されているか

Haring(2016)は、米国の救急外来の全国標本を用い、2010〜2013 年のスポーツに関連した目のけがを調べました。年に約 30 000 人が受診し、受診者の平均年齢は 22.3 歳で、若い人を多く含んでいました。目立った活動にはバスケットボールや野球、エアガンがあり、スポーツ全般の目のけがを見渡した研究です。

続いて、武道に関連した記録を集めたのが Oska(2025)です。米国の救急外来のけが監視の記録から、2012〜2021 年に報告された 4〜62 歳の患者の目のけがを取り出し、どんな診断が付いていたかを記述しています。ここで集まったのは全国の推計人数ではなく標本中の報告で、多かったのはボクシングやパンチによるけがでした。

最も多い診断は角膜擦過傷で、報告の 40.5% を占めました。角膜は目の表面の透明な部分で、擦過傷とはそこにできるすり傷を指し、この診断では良好な経過が報告されています。一方、網膜剥離が 4 件あり、目の奥で光を受け取る膜がはがれるような、視力に関わるけがも含まれていました。

件数の小ささだけで、けがの重さを決めることはできません。ただし、これらの記録には空手だけの発生率や眼鏡の有無による比較がなく、稽古する子どもの何人に起きるか、眼鏡を外せばどれだけ減るかまでは示していません。救急外来の記録から受け取れるのは、武道中の目のけがには表面のすり傷と視力を脅かすものの両方がある、という点です。

普通の眼鏡と目を守る道具を分けて考える

Hoskin(2015)は、眼鏡が目のけがに関わった文献と、衝撃に対する眼鏡の性能をまとめた総説です。眼鏡が主な原因、または原因の一部になった目のけがが 695 件集められ、ボールやラケットが当たる場面、相手と衝突する場面などが含まれていました。普段よく見える眼鏡でも、接触時の保護を目的に選ばれた道具とは区別する必要があります。

この総説で検討されたのは、レンズだけでなく枠の構造や素材です。レンズの素材としては、樹脂の一種であるポリカーボネートが勧められています。「割れにくそう」「柔らかそう」という見た目の印象だけで決めず、目を保護する用途の製品か、どんな使い方を想定した作りかを選定時に聞く、という具体的な確認につながります。

素材の名前を知ったら、それだけで選定を終えるのではなく、枠とレンズを組み合わせた道具として相談します。必要な度数で見え方を補えるか、顔に合うか、実際に行う動作で使えるかを、眼科医や眼鏡を扱う専門家に伝えて検討する方法があります。競技名だけを伝えるよりも、相手との接触を伴う組手に使う予定であることまで説明する方が、相談内容を具体化できます。

また、Hoskin(2015)は、片目で主に見ている人、角膜が薄い人、以前に目の手術やけがを経験した人を、特に注意を要する対象として挙げています。これは子どもだけの問題ではなく、大人になって空手を始める人にも関係する確認事項です。該当する場合は、道具を選ぶ前に、目の状態と接触を伴う運動について眼科医に相談します。

保護めがねの効果が調べられたのは球技

Kriz(2015)が調べたのは、米国の高校女子フィールドホッケーで保護めがねが全国的に義務化された前後です。ボールとスティックを使う球技を対象にした観察研究で、空手の組手を調べた試験とは異なります。義務化の前後でそれぞれ 2 季を比較し、目と眼窩、つまり眼球を収める周囲の部分のけがを記録しました。

選手が練習や試合に参加する機会 1000 回あたりの目と眼窩のけがは、義務化前の群で 0.080 件、義務化後の群で 0.025 件でした。また、21 日を超える離脱を伴う重い目と眼窩のけがは 67% 減少しました。軽いけがの件数だけでなく、競技から長く離れるけがにも減少が見られた点が、この研究の注目点です。

道具の着用を競技全体で取り入れたときの変化を観察しているため、家庭が保護めがねを検討する際の参考になります。実際に着用する仕組みと、けがの記録を結びつけているところに意味があります。保護具の素材を検討した Hoskin(2015)とは問いが異なり、Kriz(2015)は競技の中で使われた場合の結果を扱っています。

次の表は、目のけがの実態、眼鏡の構造、着用後の結果を見比べたものです。最後の列には対象や調べ方の違いを置き、各研究が答えている範囲を示しました。

研究 対象と国 何を数えたか わかったこと 空手に当てはめるときの限界
Haring(2016) 米国の救急外来のスポーツ関連受診者 目のけがによる受診 年に約 30 000 人が受診 武道を分けた集計ではなく、救急外来の受診者が対象
Oska(2025) 米国の武道に関連した目のけがの患者 標本中の診断と原因 角膜のすり傷が最多で、網膜剥離なども報告 空手別の率や、眼鏡の有無を比べた結果ではない
Hoskin(2015) 各地の文献に載った眼鏡関連のけが 眼鏡が関わった症例 枠とレンズの作りや素材が検討事項 症例を集めた総説で、格闘技の比較研究ではない
Kriz(2015) 米国の高校女子フィールドホッケー選手 義務化前後の目と眼窩のけが 義務化後にけがが減少 球技での前後比較で、無作為に群を分けた試験ではない
Yahalomi(2025) イスラエルの片目の視力が弱い子ども 質問紙による保護めがねの着用状況 着け心地、見た目、見えにくさが課題 特定の目の状態の子どもの自己申告で、組手中の調査ではない

着け続けられるかを子どもの言葉で確かめる

Yahalomi(2025)は、片目の視力が弱く、保護めがねを勧められたイスラエルの子ども 83 人について調べました。保護者のほぼ全員が着用の勧めを知っていた一方、日中の少なくとも 90% の時間に着けていた子どもは 29 人、35% でした。必要だと知っていることと、実際に長く着けていることには隔たりがありました。

着けない理由として挙がったのは、着け心地、見た目、見えにくさです。これを「子どもが我慢しないから」と受け取るよりも、道具を使う上で残っている問題として聞く方が、研究で挙がった理由に沿っています。保護めがねを用意する際には、本人が顔に着けた状態でどんな点を気にするかも相談内容に含めます。

たとえば、着け心地については、どこかが当たるのか、ずれる感じがあるのかを本人に尋ねる方法があります。見えにくいという訴えなら、どの向きやどの場面で気になるのかを聞き、眼科医や眼鏡を扱う専門家へ伝えます。これらは子どもの訴えを具体的にするための確認であり、顔に合わない状態のまま使い続けるよう求めるための確認ではありません。

見た目が嫌だという場合も、その言葉を着け心地の問題とひとまとめにせずに聞きます。形の希望を相談することと、保護に必要な条件を専門家に確かめることを並行して進める、という扱いが考えられます。購入した段階で話を終えず、稽古で使う予定の道具について、本人の困り事を指導者にも伝えます。

子どもでは、保護者が専門家や指導者との連絡を手伝い、本人の言葉も同じ場に持ち寄る形が考えられます。大人の初心者なら、自分が以前に受けた目の治療や、着用中に感じる見えにくさを直接伝えられます。どちらの場合も、相談する内容は「使っているか」だけでなく「どんな状態で使っているか」です。

外すかどうかは、稽古の内容と一緒に決める

眼鏡を外すかどうかだけを先に決めると、見え方を補う方法と参加する稽古の話が離れてしまいます。指導者には、普段眼鏡を使っていること、外したときに本人がどのように見えると話しているか、眼科医から受けている指示を伝える方法があります。本人に見えにくさがあるなら、それを残したまま組手に参加させる判断を急がず、相談を先に進めます。

相談するときは、相手と接触する組手を行うのか、相手に当てない動作の練習なのかを具体的に説明します。眼科医には予定している動きと接触の有無を伝え、指導者には医療上の条件を共有する、という役割の分担ができます。保護めがねの使用が認められるか、どの練習で使う想定なのかも、稽古の開始前に確認する項目です。

コンタクトレンズについては、組手で使用してよいかを眼科医に相談します。子どもの目の状態と、実際に参加する稽古の内容を示して、使用の可否について助言を受けてください。眼鏡を外したいという希望があっても、コンタクトレンズへの変更を保護の方法の結論にせず、目を守る条件の相談も続けます。

片目の視力が弱い子どもや、以前に目の手術やけがを経験した子どもについては、Hoskin(2015)が挙げた注意点が相談の中心になります。一般の参加者と同じ扱いを希望するかどうかとは別に、本人の目の状態に応じた参加条件を眼科医と確かめます。接触を伴う稽古が適さないと助言された場合には、その条件を指導者に伝え、参加内容を変更する相談が必要です。

更衣室でケースに眼鏡をしまう直前になって判断を迫られる形は避けたいところです。稽古前の相談では、使う道具、参加する練習、途中で見えにくさが出た場合の連絡先を、保護者と指導者で共有する案があります。持参する道具の名前だけでなく、その道具を使う場面まで話を進めます。

目を打った後の変化は、用具の評価と切り離す

目を打った後に見え方が変わる、痛みが続くときは、稽古を止めて眼科を受診してください。保護めがねを着けていたかどうかにかかわらず、打った後に何が変わったかを見ます。

受診時には、何が当たったか、どの動作の途中だったか、使っていた眼鏡や保護めがねの状態を伝えると、出来事の説明になります。保護者が接触の瞬間を見ていなければ、その場にいた指導者から状況を聞き、本人の見え方や痛みの訴えと分けて伝えます。子どもが使った言葉を、保護者の推測に置き換えずに残す方法もあります。

Oska(2025)の記録には、目の表面のすり傷と、目の奥にある網膜のけがが含まれています。家庭ではけがの名前を決めるより、打撲後の見え方の変化や続く痛みを眼科へ伝えることを優先します。

また、受診の際に使っていた道具を説明することと、その道具が原因だったと決めることは別です。Hoskin(2015)が眼鏡の関わった症例を集めているからといって、個々のけがを眼鏡のせいと扱う必要はありません。目の状態を診てもらった後、再び稽古に参加する条件と用具の扱いを相談します。

よくある質問

普通の眼鏡を外せば組手をしてもよいか

眼鏡を外すことだけで参加を決めず、外したときの見え方と、目の状態、接触を伴う稽古の内容を合わせて相談してください。普段の眼鏡をかけたまま打ち合うことにも、見えにくい状態で参加することにも、その場で結論を出さず、眼科医の助言と指導者が用意できる練習内容を確認する手順が必要です。保護者だけで決めず、子ども本人がどう見えると話しているかも伝えます。

保護めがねを嫌がるときはどうすればよいか

Yahalomi(2025)では、着けない理由に着け心地、見た目、見えにくさが挙がっています。まず、本人がどの点を嫌がっているかを聞き、当たる場所や見えにくい場面があれば、眼科医や眼鏡を扱う専門家へ具体的に伝えてください。本人の訴えと、保護のために必要な条件を両方扱い、購入した道具をそのまま使わせることだけを目標にせず、使い方と稽古への参加条件を相談します。

コンタクトレンズに替えて組手をしてもよいか

組手でコンタクトレンズを使ってよいかは、本人の目を診ている眼科医に相談してください。相談時には、眼鏡を外したい理由、普段の見え方、予定している稽古と接触の有無を伝えます。装用の可否についての助言を受けた後も、指導者には眼科医の指示を共有し、見え方を補う方法と目を守るための条件を分けて話します。

参考文献

  1. Haring RS ほか. Epidemiology of Sports-Related Eye Injuries in the United States. JAMA Ophthalmol. 2016;134(12):1382-1390.
  2. Oska N ほか. Seeing through the strikes: a comprehensive study of ocular injuries in martial arts from 2012 to 2021. Can J Ophthalmol. 2025;60(3):135-140.
  3. Hoskin AK ほか. Spectacle-related eye injuries, spectacle-impact performance and eye protection. Clin Exp Optom. 2015;98(3):203-209.
  4. Kriz PK ほか. Eye Protection and Risk of Eye Injuries in High School Field Hockey. Pediatrics. 2015;136(3):521-527.
  5. Yahalomi T ほか. Protective eyewear in children with one eye vision loss: compliance and trends. Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol. 2025;263(6):1719-1724.

この記事の限界

測定されたのは救急外来に来た目のけが、文献中の眼鏡関連の症例、球技での義務化前後の変化、特定の目の状態にある子どもの着用状況であり、日本の子どもの組手で保護めがねの有無を直接比べた結果ではありません。

それぞれ対象や調べ方が異なるため、これらの結果だけで個人の組手への参加を認めたり、道具を選定したりすることはできず、診断や個別の医療上の助言は眼科で受ける必要があります。日本の子どもの組手で、見え方を補う方法と保護めがねの種類を組み合わせたときのけがの減少や、成長に伴う装着状態の変化、長期間使い続けられる条件は、引いた研究では未解明です。

技の名前を調べた次は、組手の痛みと礼儀を稽古場で確かめる

  • 向く人: 技の名前や由来を知ったうえで、型と組手で実際に体を動かしたい大人
  • 向く人: けがの防ぎ方と礼儀の教え方を見てから、子どもに空手を習わせたい保護者
  • 向かない人: 相手を倒す技だけを早く覚えたい人
  • 向かない人: 医師から打撃や接触のある運動を止められている人

このサイトはワールド極真会空手連盟 東京支部が制作しています。稽古場はオンザショア立川店(立川駅から徒歩1分・溶岩プレートの床のスタジオ)です。

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よくある質問

普通の眼鏡を外せば組手をしてもよいか

眼鏡を外すことだけで参加を決めず、外したときの見え方と、目の状態、接触を伴う稽古の内容を合わせて相談してください。普段の眼鏡をかけたまま打ち合うことにも、見えにくい状態で参加することにも、その場で結論を出さず、眼科医の助言と指導者が用意できる練習内容を確認する手順が必要です。保護者だけで決めず、子ども本人がどう見えると話しているかも伝えます。

保護めがねを嫌がるときはどうすればよいか

Yahalomi(2025)では、着けない理由に着け心地、見た目、見えにくさが挙がっています。まず、本人がどの点を嫌がっているかを聞き、当たる場所や見えにくい場面があれば、眼科医や眼鏡を扱う専門家へ具体的に伝えてください。本人の訴えと、保護のために必要な条件を両方扱い、購入した道具をそのまま使わせることだけを目標にせず、使い方と稽古への参加条件を相談します。

コンタクトレンズに替えて組手をしてもよいか

組手でコンタクトレンズを使ってよいかは、本人の目を診ている眼科医に相談してください。相談時には、眼鏡を外したい理由、普段の見え方、予定している稽古と接触の有無を伝えます。装用の可否についての助言を受けた後も、指導者には眼科医の指示を共有し、見え方を補う方法と目を守るための条件を分けて話します。